音楽ソムリエ

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若者のすべて (2007年, フジファブリック)

夏の終わりの情景とせつなさがここにはあるんだ!

 

志村さん、あなたの残してくれた音楽をいまだに漁るように、聴いています。素晴らしい音楽を、本当にありがとう・・・。

 

 

フジファブリックの「若者のすべて」です。彼らの通算10枚目のシングル曲、夏の終わりに聴くべき Every year music です。


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夏の終わり

最後の花火大会が終わった後の

切なさ(刹那さ)や虚しさなど

感傷的になり考えてしまう

その時の情景を歌った楽曲

 

誰もが持っている懐かしい経験や感情とリンクする歌詞が見事です。不思議とこの楽曲を聴くと頭の中に ″夏の終わりの情景″ が浮かんできます。


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私の場合は花火大会のような大きな花火というより、線香花火の淡い情景が浮かんできます。 ″最後の花火″ というワード、線香花火のような、小さくて儚い火花を思い出します。

 

 

歌詞制作について、志村さんはインタビューで次のように語っています。

例えば「君が好き」っていう言葉があったらフジファブリックはそういうふうには歌わないと思う。そういう言葉があれば「君のことは嫌いじゃない」と言うと思う。

 

そうすると「好き」にもなるかもしれないし、「普通」になるかもしれない。想像次第ではすごいラヴソングにもなるし、そういう曲を作ろうと心がけている。

 

あえて抽象的な表現とすることで、1つの言葉であっても、リスナーに様々な情景を想像してもらうことができます。自分の体験を投影でき、心に語りかける音楽になります。

 

 

そして曲がいいんです❗

めちゃくちゃいいんです❗

 

なぜこんなに切ない音が出せるんだろう?

それぐらい切ない音が印象的です。

イントロからサビ前までは、どちらかと言えば淡々と流れていく演奏が続きます。しかし、サビ前の階段状に上がっていく音が、なんともドラスティックに曲調を一変させます。

 

そこからのピアノの音、和音が、メロディーと重なって何とも切なく印象的なサウンドになります。そして何度も波のように繰り返されていく。

 

いつの間にか、引き込まれていきます。

 

 

作詞作曲:志村正彦

真夏のピークが去った 

天気予報士がテレビで言ってた

それでもいまだに街は 

落ち着かないような 

気がしている

夕方5時のチャイムが 

今日はなんだか胸に響いて

「運命」なんて便利なものでぼんやりさせて

最後の花火に今年もなったな

何年経っても思い出してしまうな

ないかな ないよな きっとね いないよな

会ったら言えるかな 

まぶた閉じて浮かべているよ

 

世界の約束を知って 

それなりになって また戻って

街灯の明かりがまた 一つ点いて 帰りを急ぐよ

途切れた夢の続きをとり戻したくなって


最後の花火に今年もなったな

何年経っても思い出してしまうな

ないかな ないよな きっとね いないよな

会ったら言えるかな まぶた閉じて浮かべているよ

 

すりむいたまま 僕はそっと歩き出して

最後の花火に今年もなったな

何年経っても思い出してしまうな

ないかな ないよな なんてね 思ってた

まいったな まいったな 話すことに迷うな

最後の最後の花火が終わったら

僕らは変わるかな 同じ空を見上げているよ

 

 

歌詞の終盤には "すりむいたまま 歩き出す" という言葉があります。うまくいかない状況でも、前向きに進もうという意志を感じられます。

 

期待はしてしまうけど、そんなことないよな、最後の花火が終わったら、お互い別々、同じ空を見上げることでしか、つながることはできない・・・と、

 

やはり悲しい物語がこの楽曲には隠れ潜んでいるような気がします。

 

しかし、この「若者の全て」という曲は意味や考察なんて必要のない曲なのかもしれません。深く考えたりしなくても、自然と情景が浮かんでくる、本当に不思議な楽曲です。

 

そして最終盤、″最後の最後の花火が終わったら″ の部分ここで流れる音が本当に美しいです。

 

美しい音って、探してもなかなか見つからないし、世の中には数少ないものなんですが・・・。

 

ただただ、ありがとう。

 

音楽ソムリエ

なゆた

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