世紀末のクリスマスイブ、神様が変えてしまった世界、でも夜明けは来る!
目次
羊文学(ひつじぶんがく)の『1999』
音が頭から離れない
ぐるぐるまわっている
いい音楽なんだ
ギターのディストーション
オルタナティブな感覚
3人が向かい合うように開始されるイントロ
こんな感じで曲が始まるバンドはあまり見たことがない。お互いに音を感じ取って一つの曲が構成されていくようで、その一連の作業が美しくて好きだ。
この楽曲は讃美歌のような透き通る声で始まり、終わる。それでいて歪むギター音と軽快なベースとドラム、シューゲナイザーよりの重厚なロックサウンド、このギャップが魅力的である。
羊文学(ひつじぶんがく)とは
羊文学は、塩塚モエカ(Vo, Gt)、ゆりか(Ba)、フクダヒロア(Dr)の3名からなるスリーピースロックバンド。当初は5人だったが、メンバーの脱退や加入を経て、2017年から現体制となる。
『1999』はクリスマスを題材にした曲
ボーカルの塩塚(しおつか)モエカさんは幼稚園と中高がキリスト教教育の学校に通っていた。クリスマスは普通の人が思うよりも神聖なものだったのかもしれない。
世紀末のクリスマスイブ
過ぎ去った20年前世界
知らない神様が変えてしまった世界
これらの言葉が綴られ、印象的な歌詞が書かれている。しかし、単純なクリスマスソングというより、神様が理不尽に変えてしまった世界の不安からの救いを表現している。まるで現在(2020年5月)の世界観を示しているようで共感を覚えてしまう。
歌詞
作詞:塩塚モエカ
作曲:塩塚モエカ
ぼくはどうしたらいい?
眠れない夜がきて
窓の外が少しオレンジに変わる昨日見た映画で
過ぎていった時代は
僕のママやパパが子供の頃それは世紀末のクリスマスイブ
誰もが愛したこの街は
知らない神様が変えてしまう
っていう話ぼくはどうしたらいい?
眠れない夜が増え
テディベアとお話できそうだよ街は光が溢れ
子供達のあしおと
カウントダウンがはじまった ほらそれは世紀末のクリスマスイブ
僕が愛していたあのひとを
知らない神様が変えてしまったそれは世紀末のクリスマスイブ
誰もが愛したこの街は
知らない神様が変えてしまう
っていう話それは世紀末のクリスマスイブ
僕が愛していたあのひとを
知らない神様が変えてしまった どうしてよ夜が明ける頃 迎えにゆくよ
歌詞の意味
終始ギターのディストーションの影響なのか、不安と緊張感が漂う曲調、ただ最後には「迎えにいくよ」とポジティブな言葉が存在する。
20年前、父母が子供の時に経験した世紀末、実際には見えないものを恐れる不安感、愛していた街や人、神様がいたずらに変えてしまうという悲壮感が漂う。しかし、夜明けはあり、迎えに来てくれると・・・。
先の見えない不安感と夜明けを待ちわびる状況が現在の世界と同期していると感じます。
音楽は祈り
まさにその通りだと思う
音楽ソムリエ
なゆた