ローファイ インディーロックって何なんだ?
ローファイは英語で、Lo-Fi(Low-Fidelity、Lo-Fi music)を意味しており、音楽をレコーディングする時の録音技巧。極端に高音質ではない録音環境を志向する価値観。転じて、そうした要素を持った音楽自体を表す言葉である。
1980年代に入ると録音技術が格段に進化し、メジャーのダンスミュージック、ニューウェーブロック、ヘヴィメタルなどには、エコーやエフェクト、またオーバーダブ(録音した音声を重ね録りする多重録音の手法)など、極端なHi-Fiサウンドが主流となる。
そんなHi-Fiサウンドへの反発への気持ち・・・。たんに録音環境が悪いというのではなく、リアルに演奏できるサウンド、現実音楽を大切にしたいという価値観がローファイの意図するところである。
一方、「インディーロック」とは、流行とは異なり、反商業的、個性的な音楽性をもったアーティストや音楽を指して使われる言葉である。
ちなみに日本でよく耳にするインディーズと混同しがちであるが、「インディーズ」はメジャーのレコード会社ではないレーベルとの契約、または自主制作を意味している。このためインディーロックの「インディー」と「インディーズ」は別々の用語になる。
まとめると、ローファイ インディーロックは現実の音にこだわり、流行にはとらわれない独自音楽のことを指すのだ。
サンタクルーズを拠点にする、ベッドルーム、フォーク、インディポップ・シンガー/ミュージシャン Wyatt Smith(ワイヤット スミス)さんの『Stuck』。爽やかなローファイ インディーロックが心地よい。
ベイエリアのミュージシャンらしい、軽やかで開放的な楽曲、Wyatt Smithは良質なローファイ インディーロックを着実に産み出している一人である。
この『Stuck』は2020年3月13日、Open Door Records経由で『Maple』というタイトルのニューアルバムに収録されている。
Smithの長年の友人であるMelina Duterte(別名Jay Som)がミックスを担当したこのアルバムは、これまでの作品の中でも彼自身を代表する作品となっている。
楽曲の題名である ″Stuck″ は日本語で「立ち往生」を意味する。人生の行き詰まりを表現した楽曲となっていますが、曲調は暗くなく、なぜか元気が出てくるのだ。
I'm out of touch with what is what
I broke my phone it's just a crutch
Leave the party I don't wanna be here anymore
I got high and now I'm just looking for the door
何が何だかわからなくなってきた
私は携帯電話を壊した...それはただの松葉杖だ
もうここには居たくない
ハイになって今はドアを探している
Where are the people I once knew
Why am I stuck in Santa Cruz
All of these kids are from LA
Maybe I'll go back to the bay
かつての知り合いはどこにいるのか
なぜ私はサンタクルスで立ち往生してるのか
この子たちはみんなLAから来たんだ
湾に戻るかな
Uh-huh, it's where I'm from
Uh-huh, I never wanna change
Uh-huh, spit out the cherry seeds
Uh-huh, it's where I wanna be
私の出身地だから
変わりたくない
桜の種を吐き出して
俺の行きたいところだよ
Drop out of school
I'm dumb as fuck
Can't get a job
Where is my luck
退学
俺は馬鹿だ
仕事に就けない
私の運はどこにあるの?
I'm walking home on maple street
I wonder what my life will be
If I am stuck in my old ways
I'll never grow
I'll never change
メープル通りを歩いて帰る
私の人生はどうなるんだろう
昔のやり方に囚われていたら
伸びることはない
変わらない
爽やかなローファイサウンドでありながら『Stuck (立ち往生、行き詰まり)』というどちらかというとネガティブな曲名、現在を悲観しながらも、何とか変わろうとしている気持ちが伝わってくる。
私も立ち往生の真っ最中
この曲を聴いて、何とか乗り切りたいものです。
音楽ソムリエ
なゆた