儚さと力強さの同居・・・、砂漠の君へ、そこに込められた意味とは!?
羊文学というバンドが好きだ
塩塚さんの声が好きだ
演奏が好きだ
歪んだギターの音
リズミカルなベース
軽快でポップなドラムタッチ
楽器からの伝わる響きが好きだ
このバンドサウンドが好きだ
三人が向かい合って始まるイントロが好きだ
羊文学の『砂漠のきみへ』
目次
羊文学とは
Vo.Gt.塩塚モエカ、Ba.河西ゆりか、Dr.フクダヒロアからなる、繊細ながらも力強いサウンドが特徴のオルナティブロックバンド。
2017年に現在の編成となり、これまでEP4枚、フルアルバム1枚、そして全国的ヒットを記録した限定生産シングル「1999 / 人間だった」をリリース。
2020年8月19日にF.C.L.S.(ソニー・ミュージックレーベルズ)より「砂漠のきみへ / Girls」を配信リリースし、メジャーデビューした。
https://www.hitsujibungaku.info/profile/より
砂漠の君へ
この楽曲はキャッチーなサビがあるわけではない。A メロ、Bメロ-コーラスの繰り返しが続く、それは邦楽ロックというより、洋楽の曲に多くみられる曲構成である。
分かりやすくメロディアスなサウンドがなく、最初に聴いた時には、大きく印象に残るわけではない。しかし、聴いていると、いつの間にか引き込まれ、頭の中で音楽が流れる。
そんな魅力的な旋律と浸透してくる声が特徴的な楽曲である。
そして、3:00からの1分20秒は歌詞がなく、楽器の音だけの演奏が続く。特にディストーションのかかったギター音が印象的で、まるで楽器が鳴き、叫び、唄っているかのようである。
全体的に落ち着いた曲調ではあるが、それとは対照的にドラムやベースのリズムは軽快であり、ポピュラーで、耳馴染みやすい。このギャップが羊文学の個性を形成しているのだと思う。
歌詞
作詞作曲:塩塚モエカ
きみは砂漠の真ん中
ユーモアじゃ雨はふらない
余裕ないぜ オアシスは程遠いちょうど砂漠の真ん中
愚痴ならいくらでも聞く
涙だけは命取り でもあふれたそれを掬って瓶に集めて
いつか花にあげる日まで
とっておくよそれしかできない
ごめんねと 書く
今は砂漠の真ん中
ユーモア 笑えているか胸にきいて深呼吸
もう疲れたわたしここにいるけど忘れて
一人で進んで
いつか笑って戻る日まで
待っているよ大人になってく
いじっぱりの きみ
離れていく
きみはいま
自由だね
歌詞の意味
冒頭から読むと、何のことだか分かりません。一番の最後に「ごめんね」の言葉が出てきて何かに謝っていることが分かります。
そして、二番ではそのアンサーとして「もう疲れた」「忘れて」「一人で進んで」など ″別れ″ を連想させる言葉が出てきます。
曲の最後には「離れていく」「きみはいま」「自由だね」と続きます。
不思議なことに最後まで読んで、別れを意識した時に、もう一度、一番の歌詞を読み返すと、さっきまでは意味が分からなかった言葉の羅列が、それぞれの意味のある言葉として認識できることが分かります。
パズルのように解けていく言葉
例えば冒頭の歌詞
きみは砂漠の真ん中
ユーモアじゃ雨はふらない
余裕ないぜ オアシスは程遠い
砂漠のような乾いた気持ち(終わった恋)の中
ユーモアのある話があっても、その乾きは潤わないし、戻ってこない
そんな余裕はないし、元の状態に戻るなんて程遠い・・・
このように、曲の背景が分かると一番の歌詞がパズルのように解けてつながっていく。
非常に巧みで、美しい歌詞となっています。
『砂漠のきみへ』は曲の終り方も特徴的である。ドラム音によるスカッとする締め方、このような曲の終り方は非常に珍しい。
この意味するものは、別れにより色々悩み、苦しかったりしたけれど、最後は清々しく前向きな気持ちになっていることを表しているのではないかと思います。
なんてオシャレなことをするバンドだ。
音楽ソムリエ
なゆた