なぜすぐに飽きてしまう曲と、長く聴き続けることができる曲があるのか?その差っていったい何なの!?
目次
- なぜすぐに飽きてしまう曲と、長く聴き続けることができる曲があるのか?その差っていったい何なの!?
- 飽きる曲と長く聴き続けられる曲
- ″飽き″ とは何なのか?
- 予見可能性について
- Tempalay (テンパレイ)の『GHOST WORLD』
- 歌詞
- 歌詞の意味
- あとがき
飽きる曲と長く聴き続けられる曲
キャッチーで、耳に残り、ぐっと心を掴まれる曲がある。しかし、なぜか飽きがくるのが相対的に早い気がする。
一方で、初対面ではその良さが分からず「この曲、いったい何がいいんだろう?」と思いながら、聴き続けていると、だんだん良く思える曲がある。
不思議だ…。
″飽き″ とは何なのか?
″飽き″ とは脳へ与えられる刺激が少なくなり、脳を活性化させる力が弱まる現象だと科学的には言われている。同じ刺激を与え続けても脳は慣れてしまい、活性化の効果が弱まるのだ。
この刺激の強弱には差がある。キャッチーで、耳に残る、いわゆるヒットソングでは最初に強い刺激を受けて脳が活性化されるが、その後にそれを越える刺激を継続的に与えることができず、衰退していくのだ。
一方で、最初の刺激は少ないものの、繰り返し同じ音楽を聴くことで親近感が高まり、ポジティブな印象が増加する現象がある。心理学では「単純接触効果」と言われるそうだ。親近感とともに刺激の量は増え、徐々に脳が活性化されていく。
CMやテレビドラマのテーマ曲では、毎週・毎日、曲が流れることでどんどん親近感が増し、耳馴染みよくなる。この現象は自らが積極的に聴く能動型ではなく、あまり意識せずに聴く受動型で顕著にみられる。
能動的な試聴の場合、最初からピンとこない曲は自身で繰り返し聴くことなく、その良さに気付けないまま終わるのだ。
もちろん、ある時点を越えると、脳に対しての反応がネガティブに変わっていくため、″飽き″ は避けられない現象ではあるが、そのスピードには差があるのだ。
予見可能性について
もう一つの大きな要素として、″予見可能性″ が挙げられる。単調で、予見可能な曲は脳への刺激が少なく、″飽き″ への転観点は早く訪れるのだ。
新規性、違和感、複雑性というような脳への刺激が強いほど、飽きにくくなるが、逆にリスナーに分かりにづらく、大衆の求めない音楽となってしまう。
ミュージシャンは大衆の支持を受け、売れなくてはならない。だが、ポピュラリティーを追及してしまうと心に引っ掛からない音になる。このため絶妙なバランスが求められるのだ。
繰り返し聴く耳馴染みと、予想できない音の2つが合わさると、長く聴き続ける音楽になるのである。もちろん、曲自体が良いのが前提なのだが…。
Tempalay (テンパレイ)の『GHOST WORLD』
お笑いコントのバックサウンドで使われるような、のらりくらりした音で始まりながら、急に情緒的な和音が流れるという斬新な曲である。少し悲しげな和音が、本当に好きだ!たまらない。
そして、いったりきたりを繰り返し、脳に心地よい刺激が与えられる。聴けば聴くほど良くなっていく!すごい!!
歌詞
作曲:小原綾斗
作詞︰小原綾斗
I don’t care かつてないつまんない観衆どうかしてんな
太陽系まっぷたつくらいに感情暴発してんだ感動って枯渇しちゃう 誰しも暗中模索しています
満を持してご覧なさい さしずめ境界線なんてない
愛し合って泣いている
一つ星が宙に光って瞬いたたまらない日が続いたとしても僕ら
一切の業を成すの
僕らの時代がそうさせたようでもある
痛んで遠く遠く浮かんだ
くらっぷゆあへんず 勇敢なお代官さんもご苦労様
ライダーキックくらうショッカーみたいに存在感がないやサイファイ的かつ光彩奪目 神々しい
どうだいどうだい兄さん姉さん
狂おしいでしょくだらない いつだってもう飽きたように僕ら
一切の業を成すの
僕らの時代がそうさせた夜もある
痛んで遠く遠く浮かんだ思い出されてゆくわ
想いながら生きてゆくわ
あなたの言葉のとおりいらせまいやーさ ちばにーまいかーさ
ちらいからいかろーりん びらちまたーか
歌詞の意味
大衆に求められる音と自分達の目指す音の狭間、せめぎ合い、もがきが感じ取れる。メジャーでのリリース、より分かりやすい音が求められる中、″たまらない日が続いたとしても僕ら一切の業を成すの″ とたくましく唄われる。
自分達の表現を大切にしたい!そんな意味が込められている…、( のかもしれない。)
あとがき
ジャケット写真は、ぱっと見、何が描かれているのか分かりにくいが、実はマジカルアイになっており、少し寄り目にしてやると3Dで見えてくる像がある。本作で新生Tempalayの誕生が感じとれる。
あなたには見えてきましたか?
音楽ソムリエ
なゆた