音楽ソムリエ

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カタオモイ (2016年, Aimer)

片想いを比喩に使った物語を読み解く

 

少しハスキーで

深く響く声

シンプルなギターリフなのに

印象的な音が頭の中をリフレインする

Aimerの『カタオモイ』

 

目次

 

Aimer (エメ)とは

アイマーかと思っていた…。実はアルファベットはフランス語読みであり、エメが正解!その名前は自身の長年の愛称に由来し、フランス語では「愛する」「好む」を意味する。

 

2011年にシングル「六等星の夜」でメジャーデビュー。少しハスキー、囁くようでありながら、深みと透明感を併せ持った独特の声が魅力だ。その声に魅了されるアーティストも多く、コラボレーションや楽曲提供を数多く受ける注目のシンガーである。

 

 

内澤崇仁 (うちさわ たかひと)とは

この楽曲を作詞作曲したのは内澤崇仁さん。ロックバンド「androp (アンドロップ)」のボーカル・ギターであり、同バンドではほとんどの曲において作詞・作曲・編曲を手掛けている。

 

バンド活動以外にも多くのアーティストに楽曲提供やプロデュースを行い、映画音楽も手掛けるなど、マルチに活躍する音楽家である。


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妄想解釈のすすめ

今回は、少し趣向を変えて歌詞の意味を考えてみたいと思う。

 

小説や詩の世界では、作者が想定していなかったものが、作品の中に立ち上がるということがよく起きるそうだ。

 

読み手の受け取り方によって、様々な解釈ができるのが面白い。重要なのは、作者が何を書きたかったのかは、まったく気にする必要はないということだ。

 

この楽曲を聴いたときに、カタオモイが両想いになるという単純な物語ではないと感じたので、少し深く考えてみた。

 

 

歌詞

作詞:内澤崇仁

作曲:内澤崇仁

例えば君の顔に昔よりシワが増えても それでもいいんだ
僕がギターを思うように弾けなくなっても 心の歌は君で溢れているよ
高い声も出せずに思い通り歌えない
それでもうなずきながら一緒に歌ってくれるかな
割れんばかりの拍手も 響き渡る歓声もいらない
君だけ 分かってよ 分かってよ

Darlin' 夢が叶ったの
お似合いの言葉が見つからないよ
Darlin' 夢が叶ったの
「愛してる」

 

たった一度の たった一人の 生まれてきた幸せ味わってるんだよ
今日がメインディッシュで 終わりの日には甘酸っぱいデザートを食べるの 山も谷も全部フルコースで
気が利くような言葉はいらない 素晴らしい特別もいらない ただずっと ずっと側に置いていてよ
僕の想いは歳をとると増えてくばっかだ 好きだよ 分かってよ 分かってよ

ねえ、Darlin' 夢が叶ったの
お似合いの言葉が見つからないよ
Darlin' 夢が叶ったの
愛が溢れていく

 

君が僕を忘れてしまっても ちょっと辛いけど… それでもいいから
僕より先に どこか遠くに 旅立つことは 絶対 許さないから
生まれ変わったとしても 出会い方が最悪でも また僕は君に恋するんだよ
僕の心は君にいつも片想い 好きだよ 分かってよ 分かってよ 分かってよ

Darlin' 夢が叶ったの
お似合いの言葉が見つからないよ
Darlin' 夢が叶ったの

ねえ Darlin' 「愛してる」

 

歌詞の意味

さて美しいラブソングであるが、

「ずっとカタオモイしている僕が両想いになって夢が叶った、ハッピー!」という内容だとすると矛盾する言葉が多く存在する。

 

一番では

  • 顔に昔よりシワが増えてもいいんだ
  • ギターを弾けなくなっても
  • 高い声も出せなくなっても

片想いだったにしては、かなり先の未来を想像させる?

 

二番では

  • たった一度の生まれてきた幸せを味わっている
  • ずっと側にいたい
  • 歳をとっても君への想いは増えていく

過去から現在の心境を想像させる。なぜ片想いなのに、生まれた時のことまで遡る?

 

三番では

  • 君に忘れられてしまうのは辛い
  • 先に死なないで欲しい
  • 生まれ変わり、また君に恋をする

さらに先の未来を想像させる?死んだ後の生まれ変わりまで…。

 

そしてサビでは

  • 夢は叶った
  • お似合いの言葉が見つからないよ
  • 「愛している」と再度伝える

 

まとめると

  • かなり先の未来を想像?片想いなのに?
  • 分かってよ、と片想いの分かって欲しい気持ちは最後まで続く
  • 生まれ変わっても、続く深い愛?
  • 生まれてきたことの幸せ、誰の?
  • お似合いの言葉が見つからない?

 

片想いの内容だとすると、激おもだ。そして、いまいちピンとこない言葉が多い。フレッシュさがなく、長年共に暮らしてきたという感じを受けるのだ。

 

そのため『カタオモイ』というのは何か別のことを恋愛の「片想い」を比喩として使い表現していると思われる。

 

一方通行になりがちで

歳を重ねると増えていく

溢れる無償の愛

と考えると親から子に対する一方通行の愛情を表現しているように思えてくる。

 

例えば、父(母)が、娘(息子)を想う親心を、片想いになぞらえて比喩的に示しているのかもしれない。

 

メインディッシュは、娘の生まれた日

デザートは、娘が誰かと結婚する日

 

自分のことは忘れてもいい

自分が死ぬまでは死なないで

君のこと親身に想ってること

それは少しは分かって欲しい!

とカタオモイをしているのである

 

そうすると嬉しいというより、一緒に暮らしてきた日々との別れ。嬉しくも悲しい気持ちになり、すごく切ない気持ちになる。

 

この楽曲は過去を思い出すように、印象的なギターリフにのり、淡々と歌詞とメロディーが繰り返し流れていく。過去を思い返し、これから先の願いも込めて…。

 

そんな意味が隠されているのかもしれないと考えると、深い曲に聴こえてくる。片想いしていなくても、自分の気持ち、自分を想ってくれている親の気持ちを投影できる。

 

誰にでも共感できる名曲かもしれない

妄想はつきない…

 

音楽ソムリエ

なゆた

 

カタオモイ

カタオモイ

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